文書作成日:2018/01/05


 株主の判断は、相続においても名義の如何にかかわらず、実際に株式の取得資金を拠出した人が真実の株主として取り扱われます。




 父は、会社(株式会社甲社、昭和50年設立)を経営していました。その父が亡くなり、相続税の申告をしようと思うのですが、この甲社の株式も相続財産になると思います。
 株主名簿では、株主として、父の兄弟や既に退職した従業員の名前が並んでいますが、それら株主は、自分たちが株主であるということを、今まで知りませんでした。相続税の申告においては、父の持株分だけを相続財産として良いのでしょうか?






 お父様以外の株主が単なる名義人であり、自ら株式の取得資金を拠出していない場合には、名義株となり、すべてお父様の相続財産として申告する必要があります。但し、単なる名義人ではなく実際の権利者であると認められる場合には、お父様以外の株主の持ち分は相続財産として申告する必要はありません。




 昭和50年当時は、会社を設立するにあたり7名以上の発起人を集めることが義務付けられていました。また、発起人はそれぞれ1株以上、株式を引き受けなければなりませんでした。この規定により、発起人としては親族や従業員などの名義を借り、実際の払い込みはすべて代表者が行う、という形で会社の設立手続きを行うことがよくありました。

 このような場合に問題になるのが、その株式は株主名簿に記載されている名義人のものなのか? それとも金銭を払い込んだ当時の代表者のものなのか? ということです。

 税務上では、実質課税の原則により、株主の判定は実質に基づいて行われることとして取り扱われます。相続税法においては、特段記載されておりませんが、法人税では、「株主等は、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等によるのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者を株主等とする。」と規定されています。

 株主が、単なる名義人であるかどうかの判断は形式的なものではなく、事実認定によります。具体的には、以下のポイントに着目して総合的に判断することとなります。

など、これら1つ1つの項目を総合して勘案し、単なる名義人に過ぎないのか真の所有者なのかを検討します。

 昨今では相続時だけではなく、M&Aなどの際にも名義株の問題が関係してきます。会社設立当初の関係者しか事実関係を把握していない場合も多々ありますので、創業者が自らの判断で行動できるうちに、問題を解決しておきましょう。例えば、名義株の名義人が実質の所有者であると主張した場合、配当や株式の買取りを請求されたり、共同で議決権を行使されたりする可能性もあるため名義株の覚書を取り交わしておくとよいでしょう。

 なお、名義株だと言われないためには、などを心掛けましょう。

 随分前に退職された従業員、既に亡くなっている方などの名前が株主名簿に記載されている場合には、真の所有者を特定し、適切な処理で名義を整理しましょう。法人税申告書の別表二(同族会社の判定に関する明細書)の記載とも一致させましょう。


<まとめ>

<参考>
 法人税法基本通達1-3-2
 最高裁判所第二小法廷昭和42年11月17日判決
 国税不服審判所裁決事例集41−290頁


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